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「未来の世の中に必要な支払い環境を、PAYで整えていきたい」満を持して新設されたBASE子会社PAY 高野兼一が想い描く夢

2018.1.4 FEATURE

本日付けで「PAY株式会社」がBASE株式会社の子会社として設立されました。その新会社の代表に就任する高野兼一氏。大学在学中にピュレカ株式会社を立ち上げ、決済事業をおこなった後、2014年12月にBASE社にジョイン。BASE社の決済事業の責任者として同事業の成長に寄与してきました。27歳の寡黙な技術者兼経営者である高野氏。スタートアップの世界に飛び込んだ経緯と今後の意気込み、決済事業への熱い想いなどを伺ってきました。

 

お金はなぜ世の中の中心にあって、それが生み出されているスポットはどこなのか?

 
こんにちは。今日はよろしくお願いします。いきなりなんですが、高野さんのことをみんな「keketa」って呼んでるじゃないですか。「keketa」ってニックネームはいつからなんですか?
 
2010年くらいでしょうか。自分のイニシャルを適当に並び替え、テンポが良さそうなので「keketa」というハンドルネームを作りました。こんなに定着してしまうとは当時思ってなかったです…。
 
そうですよね(笑)。みんな呼んでますもんね。僕も「keketa氏」と呼んでいるので、今日はそれで通そうと思います(笑)。よろしくお願いします!
ところでkeketa氏の出身ってどちらなんですか?

 
高校までは新潟に住んでいて、大学入学を機に東京に来ました。
 
新潟なんですね。その頃から「決済」には興味があったんですか?
 
高校の頃から「お金」には興味があったんです。金融の世界。お金はなぜ世の中の中心にあって、それが生み出されているスポットはどこなのか、そんな疑問から周辺領域を調べていました。
 
当時ペイパルマフィアなどが脚光を浴びていましたが、そういうのを含めて海外情報などを調べていました。その結果、いま現在から未来にかけてお金が急速に大きく生み出される産業はインターネットなのではないかと思ったんです。
 
元々金融、インターネットという現在keketa氏がやってる事業に興味があったんですね。
 
そうですね。その流れでスタートアップにも興味を持って、界隈の人のTwitterをフォローしたり、調べたりして情報をひたすら収集していました。プログラミングも独学で勉強して、少しできるようになりました。それが大学の1、2年くらいでしょうか。
 
実際にスタートアップの世界に踏み込んだのはいつなんですか?
 
大学3年くらいですかね。金融ニュースサイトを運営していたスタートアップがインターンを募集していたので応募したのがきっかけです。
 
カンム社ですね。
 
はい。
 
カンム社は当時シェアオフィスにいた頃ですかね?
 
そうですね。でも面接はシェアオフィスではなくて、ミッドタウンのカフェでした。そこに行くと、カンムの八巻さん(カンム代表取締役社長 八巻渉氏)だけじゃなく、太河さん(現East Venturesパートナー 松山太河氏)やアンリさん(現ANRIパートナー 佐俣アンリ氏)、奈緒子さん(現コイニー代表取締役社長 佐俣奈緒子氏)も座っていました。
 
そうそうたるメンバーですね…。緊張とかしました?
 
まぁ…。「あぁ、Twitterの人達だ」と思いました。
 
カンムのインターンとして、どんな業務をしてたのですか?
 
基本的には金融系メディアのためのリサーチです。希望があればプログラミングも。教えてもらいながら…。
 
八巻さんに教えてもらったのですか?
 
いや、後ろ姿を見ながら…。
 
背中で教える、みたいな…。
ところで、そのシェアオフィスって数々の有名スタートアップが入居していたんですよね?

 
はい。松山太河さんの投資先企業が入居していて、カンムの他には、フリークアウト、コイニー、AnyPerk(現Fond)、CAMPFIRE、みんなのマーケットなどがいました。
 
すごい面々ですね。
 
はい。
 
BASEの鶴岡さんがCAMPFIREでインターンしてたのもその頃ですか?
 
はい、いました。でもほとんどしゃべったことはないです。
 
そうなんですね。その頃から仲良かったとかかと思ってました。
 
「顔やTwitterを知っている」くらいですかね。
 
なるほど…。
 
 

BASEにジョインすることで、世の中にもっと早く大きな価値を届けることができるんじゃないか?

 
keketa氏が起業をするきっかけを聞きたいのですが、起業したのはいつですか?
 
2012年7月です。ピュレカという会社を作りました。
 
なぜ起業するに至ったのですか?
 
カンムでリサーチをしている中で「決済」の領域がとても面白いと感じるようになりました。その中で主にオンラインサービスを作る側にとっての課金領域において「いけてない」サービスばかりで、当時自分が使いたいと思える決済サービスがなかった。これは大きな改善の余地があるのではないかと思い、それならば自分でやってみようと。
 
なるほどー。
 
ほぼ最初からクリス(現PAY事業セキュリティエンジニア)も手伝ってくれていました。知り合いの紹介で。彼も当時学生だったんです。
 
クリスはそんな昔から一緒にやってるんですね。ピュレカは、あのシェアオフィスで始めたのですか?
 
いえ、柳ビルというまた別のシェアオフィスで創業し、そのあと港区のマンションの一室に移り、開発運営していました。決済事業ということで、セキュリティ的な問題もあり、シェアオフィスでは難しいという事情があったんです。
 
あー、なるほど。
 
そこにずっと籠って開発や運営をやっていました。
 
その頃、鶴岡もBASEを始めて、サービスの規模が大きくなっていっているのを知っていました。僕らとしてはECのプラットフォームを持っているBASEと組めば、法人向けの決済だけでなく、もっと大きな、世の中の生活を変えることができる決済サービスを提供することができるんじゃないかと。
 
それで太河さん経由でBASEに事業提携の打診などをしてもらっていました。
 
直接のコンタクトではなく?
 
はい。太河さん経由ですね。鶴岡と直接あまり話したこと無かったので。一方で、鶴岡もずっと決済事業をやりたがっていました。鶴岡は鶴岡で、太河さんと「ピュレカと何かできないか」といった話をしてたようです。
 
「それならば一緒にやるか」みたいな流れになったのですかね?
 
自分としては独立したまま「提携」をしたかったのですが、鶴岡と話をしていく中で、BASE社としてはネットショップ開設サービスだけでなく、「決済」を軸とした経済インフラを作りたいという想いを持っていて、とても共感しました。
 
鶴岡からは裁量や権限を全て託してくれ、信頼もしてくれたので、一緒にやることにしました。BASEが持っている資産を有効活用しながら「決済」のサービスを伸ばすことができ、裁量をもってサービス・組織を運営できるといった点から、BASEへのジョインを決めました。
 
すぐにBASEへジョインすることを決めれたんですか?
 
いや、時間をもらって考えました。先に言ったように、BASEのコマース事業は伸びているのを知っていたし、ブランドもある。BASEの力を活用するメリットは大きい。
 
あと、決済ビジネスをやる上では外部のパートナーの協力が不可欠になってきます。そういうパートナーの開拓や付き合いも必要なのですが、開発をしながらそちらもケアするのは難しい面もありました。
 
BASEにジョインすればプロダクトに集中することができる。BASEにジョインすることで、世の中にもっと早く大きな価値を届けることができるんじゃないか?と。それらのことを考えた上で決断しました。
 
いやー、大きな決断だったと思います。
でもBASE社って他のスタートアップと比べても独特のカルチャーというか、すごいガヤガヤしてたじゃないですか、当時。keketa氏は静かに黙々と開発するタイプだと思うんですが、その辺はどうでしたか?

 
(笑)。そうですね…隅っこでひっそりとやっていたいなと思ってました。やっぱり人がたくさんいるので落ち着かなかったですね、最初は。
 
そうですよね。あと締め会とかイベントとかで鶴岡さんから無茶ぶりされてますが(笑)。
 
はい。困りますけど、少しは慣れてきたというか…。苦手ですけど。気を使っていただいてるというか…。
 
頑張ってください(笑)。
 
 

最近は自分はコードを書いていません。みんな私よりも優秀なので。

 
BASEにジョインした後、当初想定していた裁量であったりの自由度はどうでしたか?
 
はい、想定通りというか、それ以上に信頼して任せてもらってます。
 
今回PAY株式会社としてBASEの子会社を任されることになりましたが。
 
そうですね。今まで以上にスピード感持ってサービス開発したいですし、事業をもっとスピード上げて伸ばしていきたいと思っています。
 
久しぶりの「社長」ですね。
 
ピュレカの頃とは責任の重さがまた違います。事業規模も大きいですし、現在は20人弱のメンバーもいます。
 
PAYのメンバーはどんな構成なんですか?
 
エンジニアや技術がわかるメンバーの比率が高いです。年齢で言うと平均30歳くらいでしょうか。私よりも年上も多くいます。最近ではビジネスサイドも拡充されてきて、バランスの良いチームになってきたと思います。
 
チームを率いる上で意識してることってありますか?
 
現場の納得感ですかね。みんな自分の意見を持っていて、議論を恐れない。納得感無く物事が進むことが自分を含めて嫌なので、納得するまで議論します。決まったら全面的に信頼して任せます。最近は自分はコードを書いていません。みんな私よりも優秀なので。
 
静かに熱いチームですね。
 
 

鶴岡はメンバーを信頼して任せることができる「器の大きさ」がある

 
ところでkeketa氏の子供の頃ってどんな子供だったんですか?興味あります!
 
いや、特に普通だと…。
 
パソコンはいつから?
 
小さい頃からありましたし、インターネットも小さい頃からやっていました。オンラインゲームをやっていた時期もあります。チャットルームで遊んだりも。勉強はあまりしなかったです。
 
勉強しなかったことはないと思いますが、基本的にインドアということですかね。
 
そうですね。でも考えごとをするときは外を歩きながらします。
 
鶴岡さんも同じようなことを言ってた気が。話ついでに聞きますが、鶴岡さんってkeketa氏から見てどうですか?インターン時代はお互いにあまり話してなかったわけですよね。
 
はい。ネット上の情報で知るくらいで…。
 
ジョインするにあたっていろいろ話をする機会もあったかと思いますが、その時の印象は?
 
当時からプロダクトだけではなくビジネス領域も強いんだなって。元はエンジニアじゃないですか。でも話をしたり実際に一緒の会社で働くようになって、ビジネス側も得意なんだなって思いました。大人との付き合いが上手い。交渉など私は得意ではないのですが、彼はそういうのが上手い。
 
あとは信頼して任せることができる「器の大きさ」があります。長い目で事業を見ることもできる。すごいなと思ってます。
 
 

きっかけ一つで日本の決済事情もガラっと変わってもおかしくない

 
新会社PAYの社長として、今後の事業の展望などをお聞かせください。
 
日本の決済事情は、例えば中国などと比べていろんな便利な手段があります。手段としては便利なんですが、その先がない。インターネットとの親和性も低い。そんな中で今やっているQRコード決済というのは、一つの切り口として「有り」なんじゃないかと考えています。
 
なるほど。今、中国のお話が出ました。最近のスタートアップでは中国のインターネットサービスが非常に注目されていますよね。
 
そうですね。中国はたまに訪問していて、実は先日の「独身の日(11月11日)」にも一人でふらっと行ったりしていました。
 
えっ?あの凄い日(「独身の日」は中国のインターネット通販の最大の商戦日で、アリババだけで24時間で2兆5,000億円が取引された)にですか?
 
はい。実際に中国に行ってみて、現地のアプリなどを使ってサービスを体験していますが、とても完成度が高く、アプリをさわってるだけでワクワクします。体験の中心となるのはやはり決済で、初めて視察に赴いたときに銀行口座を開設して、アプリが使える環境を整えました。最近はマネーロンダリング対策などで外国人の口座開設が厳しくなっていると聞きます。
 
中国では、決済を軸にあらゆるものがデータで連携されています。例えば、アリババが「新小売」というコンセプトを掲げていますが、それを体現するようなオンラインとオフラインが一体化した店舗が増えていたり、訪問するたびに新しい発見が得られます。
 
なるほど。実際に体験してみてわかることはたくさんありますよね。日本の決済事情も変わりますかね?
 
ゆるやかに、もしかしたら何かのきっかけ一つで日本の決済事情もガラっと変わってもおかしくないと思います。向こう10年で変化が起こるのは間違いない。それを見越して、未来の世の中に必要な支払い環境を、PAYで整えていきたいなと思っています。
 
 
 

高野兼一(たかの けんいち)
PAY株式会社 代表取締役CEO 1990年生まれ。早稲田大学商学部在学中の2012年に21歳で決済サービスを運営するピュレカ株式会社を設立。2014年にBASE株式会社にジョインし、決済事業を統括するPAY Divisonのマネージャーに就任。「支払いのすべてをシンプルに」を理念に オンライン決済 サービス「PAY.JP」お支払いアプリ「PAY I D」をリリース。2018年1月にBASE社のPAY Divison分社化により、BASE100%子会社のPAY株式会社を新設、代表取締役CEOに就任。
・PAY株式会社:https://pay.co.jp

 
 

インタビュー、テキスト、編集、写真:大柴貴紀